みなみ北海道の歴史を訪ねて

DATE 2019.08.29

幻想的な大沼の風景を作り出す最初のキッカケは、3~5万年前の大噴火。駒ヶ岳は山頂の3分の1が崩落し、現在の剣ケ峯となります。噴火の泥流は裾野の河川をせき止めて大きな沼を形成し、崩落した山頂部は後の浮島となって辺りに散り散りに。駒ヶ岳はその後、何度も噴火を繰り返し、大きな沼は少しずつ大沼・小沼・ジュンサイ沼に分かれ、現在の姿となりました。
 北海道の名付け親でもある、松浦武四郎が大沼周辺を訪れたのは1845年。通り過ぎるだけの滞在でしたが、蝦夷日誌の中で「その風景は筆舌に尽くすことができないほどのものである。この地を東海道・東山道に置いたならば松島を凌ぐであろう」と書き残しています。1871年にはジュンサイ沼の畔に今はなき宮崎旅館が開業されました。

イギリスの紀行作家イザベラ・バード・明治天皇・ドイツ皇弟ハインリッヒ殿下など国内外の皇族が宿泊し、明鏡止水を象徴するような風景を絶賛したといいます。1881年には当時29歳の明治天皇が北海道巡行途中に峠の上の御野立所へ立ち寄られ、天空にそびえる秀嶺・駒ヶ岳や風光絶佳の大沼・小沼を一望し、感嘆されました。このように大沼周辺は歴史あるリゾート地として古くから愛されてきたのです。また1914年には「新日本三景」に選ばれ、2006年には「千の風になって」の名曲誕生の地としてモニュメントも設置されています。
 秋、紅・橙・黄色に美しく色づく木々と湖は、大沼ならではの歴史ある美しさを感じさせてくれるでしょう。

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