花を見ただけであなたの心が見える。
鶴雅リゾート株式会社が創立五十周年を迎えられますことを心よりお祝い申し上げます。
阿寒グランドホテルが鶴雅グループとしてあかん遊久の里・阿寒森のホテル花ゆう香・サロマ湖鶴雅リゾート・あかん鶴雅別荘鄙の座と、次々とグループホテルをオープンされる大西雅之社長さまの経営理念と手腕は観光のカリスマにも選ばれました。また、全国観光業界の指導的立場でご活躍されている様子は阿寒グランドホテルにご縁を戴いている私にとりましても誇らしい限りでございます。
私が阿寒グランドホテルにご縁を戴いてから速いもので十二年の歳月が流れました。当時専務でいらした大石雅仁氏から「今、和風ホテルを建設中で、従業員と茶道にいけばなを指導してくれる先生を探しているのだけど阿寒湖の街の近くで知り合いの先生いないだろうか」とご相談のお電話を頂いたのがご縁の始まりでした。
最初は年一回のの新入社員教育だけでした。リニューアルオープンした鶴雅はそれはことばを絶する見事な豪華なホテルに変身いたしました。あの頃は、JTBの点数八五点を目標にして努力していたようですが目標達成はすぐでした。それはハード部門で戴いた点数のように思いました。
一年一回の社員教育では接客係の質の向上には限界がありました。今でも鮮明に覚えていますが目標達成した従業員のご褒美慰安旅行のハワイからの帰途の機中、大石専務と千葉部長が「これからはもっとソフト部門に力を入れなくてはな…」私は「接客に関しては年一回の研修では無理です。せめて月一回しなくては身に付きません」と進言いたしました。
その翌月から一ヶ月一回の阿寒湖通いが始まりました。生け花も作法も身に付くのには個人差がありますが時間がかかるものなのです。
最初の頃は生け花もなかなか上手に瓶に花を止められず「あなた方の花は投げ入れ花でなく勝手流投げやり入れです。これは習わなくてもいれられます。このお部屋にふさわしく気品のある活け方をいましょうね」とか「枯れた花なら無いほうがまだましです、この花を見ただけでお客様を迎えるあなたの心が見えてきます。この後に出すお料理が台無しですね」とか随分と厳しいお言葉で注意したものでした。
でも現在では、女将をはじめ支配人・マネージャーのお力添えやご指導によりまして「しなければならない」から「このような接客をしたい」と意識改革されてきていると思います。今日のお客様を最高のおもてなしで遇するという気持ちになって準備している各セクションの皆様には頭の下がるこの頃です。
私は茶道を通し日本の生活文化やマナーを学びまだまだ未熟ながら人として生きる修行を鶴雅の皆様と共にさせていただけたら幸いです。
終わりに、鶴雅リゾート株式会社創立五十周年にあたり、皆様の日頃のご研鑽に心より敬意を表しますと共に、関係者皆様のますますのご精進とご発展をご祈念申し上げ、お祝いの言葉といたします。