中川デザイン事務所 中川 昭道氏
中川デザイン事務所
中川 昭道氏現在北見在住
1955年12月22日生まれる
北海道造形専門学校卒業、
デザイン室クラップ入社。
1980年中川デザイン事務所開設フリーデザイナーとして独立。
鶴雅グループのデザインとして、鶴雅ロビー、大地の詩他、阿寒の森ホテル花ゆう香、その他滝上町監理施設、網走グランドホテル等。

魔法の杖をふるった人達「鶴は千年亀は万年」、鶴雅の鶴は千年の鶴。

 この日を迎える事が出来ましたことは、社長はじめ、社員皆様方の並々ならぬ御努力の成果とお慶び申し上げます。
 鶴雅の、これまでの事業展開に携わってまいりました者の一人として想いを述べさせていただきますと、この50年間の鶴雅の歴史は時流を巧みに見定める冷静な視点に基づく経営戦略の歴史と言い替えても過言ではないでしょう。
 私は当時、阿寒グランドホテルでありました鶴雅と20数年前に出会い、今日に至っております。
 専門デザイナーとして20数年、感慨深い想いがございます。
 大西社長とは同年という事もございまして、何かとお目をかけてくださいましたことには深く感謝致しております。

 想えば、20数年前の12月29日にご連絡をいただきまして翌1月7日に2年振りにお会いさせていただきました。
 当時、現在の別館に位置する場所にご自宅がありその2階におきまして、プライベートも含め深夜に渡り会話に没頭しお互いの理解を深めさせていただきました。それを機にアドバイザー・専門デザイナーとして受け入れていただける事になりました。

 11年前には、阿寒グランドホテル鶴雅の建立に際しネーミングを付けさせていただくに当りましては、兼ねてから私の持論である「発想をいかにして実をつけていくか」に基づき、当時、皇太子様と雅子様の結婚式が世の話題であり雅子様ブームの真っ只中でございましたゆえ、ネーミングの際に『鶴』に関しましては、「鶴は千年亀は万年」と末永い発展を願い、また、『雅』に関しましては、平安時代の煌びやかさ、阿寒町木蝦夷山桜、阿寒のまりも・湖をイメージし「ひらめき」の中より『鶴雅』が完成致しました。
 ひらめきと申しましても単なる思い付きではなく、いつも、まさしく、いきつめて、考えぬいた結果のネーミングの完成でありました。
 加えまして、大西社長のモットーでもあります「今日できる事は今日やりましょう。」・「いいアイディア(発想)が出たなら直ぐに使いましょう。」と相乗し合った結果の完成でもありました。
 大西社長へのご報告の際にあたりましては、社長のシャイな面を考慮させていただきまして「雅は、大西雅之の雅ではなく雅子様の雅です。」と、敢えてそのように話させていただきました。社長は、「中川さん、それでいきましょう。」と、結論が出たのは一ヶ月後の事でした。
 続きまして、イメージキャラクターであります『千花優美人』の決定コンセプトと致しましては、「千」は鶴の意であり「花」は蝦夷山桜に加えまして、社長の意向でもありました全客室に“生花”のおもてなしという発想に添いました。
 「優美人」は字の如く、やさしく、心からの美しい人であって欲しいと願うメイドさんの理想の姿の意でありました。今想い起こせば、鶴雅オープンにあたりまして社員一同一丸となりまして、他の旅館・ホテル等の施設を見学し鶴雅のソフト&ハードに実を入れる事ができました。

 各施設のデザインにおきましては、先程も申しましたように『一階大浴場』に関しましては、基本設計の半分以上の時間を費やし、『くつろぎのトイレ』に関しましてはエントランスとパウダールームには遊び心を取り入れまして話題性を強調致しました。距離のある一階通路『鶴の丘』は、“トコ・ヌプリ氏”の作品を展示させていただきまして、せせらぎの中に安らぎを求めるコンセプトに致しました。
 オープン当初は、小山支配人はじめ、社員の方々に折っていただきました千羽鶴をせせらぎの中に添えていただきました事も想い起こされます。各階客室の廊下には、衝撃的な配色『鶴雅ピンク』を採用していただきました時には、申し訳なくも大西社長はじめ各役員の皆様方の反対を三日間に渡りまして押し切りさせていただきました末、鶴雅のイメージカラーの確立をさせていただきました。
 『8階大浴場』・『展望大浴場』は、美しい湖畔を一望できるというロケーションを基にデザインする事ができました。遊び心を持って、柱型にイルミネーションを付け、パティオ部分には、展望大浴場の導線として曲線を導入できました事の喜びは、昨日の事のように想い起こされます。

 この鶴雅オープンの数年前には、『売店』・『大地の詩』・『雪花火』・『ロビー』の改装にあたり、和風旅館をテーマに『水』にこだわりまして施設を造らせていただきました。『ロビー』におきましては、滝口正満氏の芸術品の数々を展示させていただき、より一層の演出が出来ました事も一つ一つが想い出であり、現在もこれらの作品を大切に存続していただけております事に感謝申しあげます。
 このように、先見性に富んだ事業展開はまさに、ホテル業界の発展といいます形容が相応しいでしょう。今年で50周年を迎えます鶴雅は、まさに、飛び立とうとする鶴のような柔軟性と果敢な行動力を底に秘めていると思われます。ぜひ、その力をフルに発揮し、次周年のお祝いの日を迎えられますよう祈念致しまして、私のお祝いの言葉とさせていただきます。