社長の思い「鄙に帰る」を具現化しました。
阿寒グランドホテル鶴雅五十周年おめでとうございます。旅館の設計に関わる者として、鶴雅の名前は早くから伺っておりました。阿寒湖温泉の鶴雅ではなく、北海道の鶴雅として聞こえていました。
社長とは一昨年の十二月に初めてお会いし、若い社長であるのに驚きました。次いで挨拶もそこそこに本題に入り、設計した旅館が気に入ったとのことで今回の「鄙の座」の設計依頼をその場で決めていただきました。五十周年を迎える年に鶴雅別荘「鄙の座」の設計にたずさわる機会を与えていただき大変に光栄に思います。
「鄙の座」は「鶴雅」の近くに建っています。寄付き門から円弧を描くアプローチを歩いて土間ホールに至り、木組みの吹抜け玄関で靴を脱いで式台を上がると正面に阿寒湖がせまってきます。真直ぐ湖へ向っていくと板張りの縁側が左右に広がっています。縁側の円座に座ってもてなしのお茶を一服。「都会を離れてふるさとへ帰る」がテーマの宿です。
浴室は湖を見渡す屋上露天風呂に阿寒産の石を使った岩盤浴を組み合わせています。夕食は炭火のいろり席を中心にした食事処を用意し、オープンキッチンには地元産の食材が並べられ、カウンターの向こう側で板前が新鮮な食材を調理するのが見えます。
一階のワインセラーには一千本のセレクションが納められ、セラー脇のラウンジでパラゴンから流れる曲に時を過ごしてもよし、長いカウンター前に座って湖を眺めながらワインを飲むのもよしです。
客室は全室温泉露天風呂付で、数寄屋造りからモダン和風まで二十五のバリエーションを用意し、リピーターを飽きさせない趣向となっています。
大型旅館も団体客から個人客旅館へ変化し、道内にも小規模旅館が徐々に生まれて来ている中で、一つの新しいタイプの小旅館が「鶴雅」グループに加わりました。「鶴雅」グループの今後益々の発展が楽しみです。