二代に渡って受け継がれた「夢劇場」を視聴した私。
顧みますと、貴ホテル大西様とはおよそ四半世紀、先代正昭社長・現雅之社長と二代に渡ってお付き合いさせていただいており、感慨深い思いがいたします。
昭和五十五年頃と記憶しておりますが、当時の常務武田氏から、政府登録のための施設チェックを依頼され、初めて貴ホテルに足を運びました。残念ながら、当時の施設では改善の必要箇所・費用の問題等で実現に至りませんでしたが、たまたま二号館広間(現在売店)前通路で、自宅に戻る先代社長をお見掛けし、杖をついた着流しの後姿に、鮮烈なインパクトを感じたことを覚えております。
それから二年程後、武田常務から「社長が増築を考えている」との連絡をいただき、先代社長とお話しすることができましたが、当時三十代半ば言わば若輩であった私の話を、本当に真剣に聞いて下さいました。夜も更けてホテルの方に「宿泊したい」という私に「自宅に泊まれ」とのお言葉。結局隣の和室に泊らせていただきましたが、緊張と不安で一睡もできずに朝を迎えました。朝、開口一番「設計を頼むよ」と言われ、疲れが一瞬で吹き飛ぶ思いでした。当時、社長は視力が低下しており、畳半帖程もあるような大きな紙にマジックで図面を描き、スタンドで照らしながら打ち合わせを重ねたこと。施工業者の見積りが予算通りなので「面白くない」と値引きさせる相談をしたこと。工事完了後、一言苦言を、という社長・お母さん(社長夫人)と三人で上京、某工務店常務と面会したが、お礼のみに終始してしまったこと─等々、懐しく思い出されます。
あれから二十余年、当時支配人として先代社長を支えておられた現社長雅之氏が、「阿寒グランドホテル」を「鶴雅」として、大きく開花させ、更にご自身も観光カリスマとして、観光産業をリードする立場でご活躍中であります。
先代・現社長と受け継がれた「夢」の実現の過程を、間近で多少なりとも共有できたことが、私自身の喜びであり誇りでもあります。
今後、ますます「鶴雅」が輝きを増し発展されますよう、祈念申し上げております。